第六章 池田大作氏への贈賞

◆「平和への大道展」の後援と広報

 JAたかつきのビルには、結局、高槻市から補助金は交付されなかったけれども、農協の組合員以外の利用もできるようである。ビルが完成した年の平成二〇年の七月には、「平和への大道展」というイベントが開催された。主催は宗教法人創価学会だ。

 そのイベントが開催されている最中、ある政党に所属する高槻市議が声をかけてきた。

 「北岡さん、聞いてくださいよ。このイベントを高槻市都市交流協会と高槻市文化振興事業団が後援しているんですよ。おまけに『広報たかつき』にもイベントの告知を掲載しているんですよ」

 「じゃあこの問題を議会で取り上げるの?」

 「僕はそんなことはやりません」

 彼の所属する政党は、公明党と連立を組んでいるわけではなかったが、憤って話しかけてきた割には、随分消極的だった。

上は街頭に貼られていた「平和への大道展」のポスター。主催は創価学会、後援は高槻市の2つの外郭団体となっている。
下は「広報たかつき」に掲載された告知。外郭団体の後援を得られると優先的に掲載される。主催者が創価学会とは分からないようにされている。


 高槻市都市交流協会は、国内外の姉妹都市との交流等を行う高槻市の外郭団体で、理事長は高槻市長の充て職となっている。つまり市長がトップだ。高槻市文化振興事業団も同じくイベントの企画・開催や市民会館等の管理を行う市の外郭団体。市が直接後援すると問題だから、外郭団体を利用して、宗教法人のイベントの箔付けをしたのではないかという疑念が湧く。後述するが、市長もある部分で積極的に関与していたのだから。

 外郭団体の後援を得られると、「広報たかつき」という高槻市の広報紙にも優先的に掲載され、全戸配布される。

 平成二一年六月二九日、私は議会でこの問題を取り上げた。

○議長

 次に、平成二〇年度財団法人高槻市都市交流協会会計決算の提出について。

○(北岡隆浩議員)

 事業報告書及び決算書の一一ページを見ると、後援名義の貸出等として、後援名義七件と書かれていますが、この七件とはどういうものなのかお教えください。

○政策統括監兼市長公室長

 お答えします。財団法人高槻市都市交流協会が後援名義の使用を許可した事業については、二〇年度七件ございます。その中身でございますが、同協会からお聞きしている概略を申し上げますと、まず、(中略)三件目は、七月一日から六日に実施された創価学会平和への大道展実行委員会主催の平和への大道展高槻展。(中略)

それぞれの事業につきまして、国際交流及び国際理解の促進に意義あるものとして後援名義の使用を承認されたと聞いております。

○(北岡隆浩議員)

 ご答弁ありがとうございます。ご答弁のとおり、高槻市都市交流協会は、平成二〇年七月にJAたかつきのビルで行われた「平和への大道展」というものを後援しました。この平和への大道展の主催者は創価学会で、このイベントの中身というのは、宗教法人創価学会の名誉会長でSGI創価学会インターナショナルの会長の池田大作氏が、世界のいろいろな人と対話をしたというものです。これは宗教的活動に類するものであって、都市交流協会が後援できない場合に該当するのではないかなと私は思うんですけれども、これについての高槻市のご見解をお聞かせください。

 次に、二点目ですけれども、この平和への大道展を後援したのはどのような理由、どのような判断基準に基づいてのものなのでしょうか、お答えください。

 三点目ですけれども、後援名義の使用について(承認)というタイトルの文書がありまして、そこには後援名義の使用の承認条件として、政治的、宗教的活動に類する行為は一切行わないことと書かれていますが、ほかに、事業終了後三〇日以内に事業報告を行い、使用した印刷物を提出することとも書かれています。この平和への大道展の事業報告はいつ行われて、そして、どのような印刷物が提出されたのでしょうか、お答えください。

○政策統括監兼市長公室長

 まず、一点目についてでございますが、先ほど説明いたしました財団法人高槻市都市交流協会が後援名義の使用を許可した事業の中に、平成二〇年七月一日から六日に実施されました創価学会平和への大道展実行委員会主催の平和への大道展高槻展がございます。その事業内容はパネル展示でございまして、平和、文化、教育に係る世界の有識者の行動や発言を紹介されたもので、国際理解の促進に意義あるものと判断されまして、後援名義の使用を承認されたと聞いております。

 次に、都市交流協会においての判断基準につきましては、申請されました事業内容等について、政治的、宗教的活動に類する行為は行わないこと、また、営利行為を目的としないことなどを承認の条件として判断されておると聞いております。

 三点目の、事業報告のことにつきましては、書類提出がおくれていたというようなことでございますが、後日、参加人数、事業の効果等が記入された事業報告書の提出があったと聞いております。

 以上でございます。

○(北岡隆浩議員)

 事業報告のほうは、実は、私が情報公開請求というか、そのときは情報提供だったんですけども、その後に出されたということで、一年もおくれて出されたような形なんですけども、これはちょっと問題があるかなと思いますんで、この辺は改善をしていただきたいと思います。

 この高槻市都市交流協会が後援した平和への大道展については、「広報たかつき」の平成二〇年六月一〇日号に掲載をされたんですけれども、この掲載原稿については、協会で作成したのでしょうか。また、「広報たかつき」への掲載依頼に当たっては、原稿のほかにどのような資料を添付されたのでしょうか。

 次に、二点目ですけれども、高槻市都市交流協会では、過去に政治団体や宗教団体のイベントを後援したことはあるのでしょうか、お答えください。

 三点目ですけれども、この平和への大道展の後援に関しては、どなたが決裁をされたのでしょうか、お答えください。

 次に、四点目ですけれども、ご答弁では、判断基準は申請された事業内容等について、政治的、宗教的活動に類する行為は行わないことということで、それが承認の条件として判断されているということだったんですが、この平和への大道展そのものが宗教的活動に類するものなのではないかなと私は思うんですけれども。

 平和への大道展への資料を少し読んでみたいと思うんですが、このように書かれていました。「平和への大道展 心と心をつなぐもの、平和ほど大切なものはない、その願いを胸に、一歩ずつ歩んできた池田SGI会長 人類の幸福と平和を求める道のりに今、多くの友が続く、愛情の経済を提唱したヘンダーソン、二〇世紀を代表する歴史家トインビー、中国の指導者周恩来を初めとする心温まる出会いの数々、文化・教育の橋を世界にかけるための苦闘、日々、世界の青年たちと織りなしている珠玉のエピソード、池田SGI会長の思想と行動、それは人と人を結び、心と心を通わせた美しい友情の物語」、

 こういうふうに書いてあるんですけども、つまり平和への大道展の大道というのは、平和ほど大切なものはないとの願いを胸に抱いた池田大作SGI会長が歩んできた大きな道のことを指すわけです。

 そうすると、この平和への大道展の主役というのは、先ほど、ご答弁では世界の有識者云々ということを言われましたけれども、やはり創価学会の最高指導者である池田大作SGI会長であるとしか考えられないわけです。そして、これを宗教法人創価学会が主催をした。私は、これは宗教的活動に類する行為だと思うんですけれども、そうではないんでしょうか。もう一度高槻市のご見解をお聞かせください。

○政策統括監兼市長公室長

 数点にわたるご質問をいただきました。これらについてお答えします。

 まず、広報の掲載原稿については、当市の広報課が作成したものでございます。

 それから、過去同様の後援があったかどうかという事例についてでございますが、今回と同様のケースで、平成一六年度に、世界の絵本展という催しを後援されていると聞いております。

 それから、後援名義の使用承認の決裁についてでございますが、都市交流協会の専務理事の決裁でございます。

 それから、今回の事業内容については、先ほども申し上げたことの繰り返しになりますが、平和、文化、教育に係る世界の有識者の行動や発言を紹介されたもので、国際理解の促進に意義あるものと判断され、後援されたものというふうにこちらのほうは聞いておりまして、宗教的活動、またそれらに類する行為には当たらないものと考えております。

・・・「平和への大道展」は、宗教法人の主催で、その団体のリーダーの思想と行動に関する展示なのだから、常識的に考えれば、「宗教的活動に類する行為」といわざるをえない。

◆「国際文化交流貢献賞」の贈呈

 さらに調べると、高槻市文化振興事業団が、高槻市長に対して、財団法人民主音楽協会(創立者 池田大作)に感謝状を贈呈してほしいと推薦し、奥本市長が、「国際文化交流貢献賞」というタイトルの症状を、池田大作氏の代理人にわざわざ手渡しに行ったということが分かった。

 この点についても議会で質問した(平和への大道展等についても質問したが、上記と重複するので省く)。

○議長

 次に、平成二〇年度財団法人高槻市文化振興事業団会計決算の提出について。

○(北岡隆浩議員)

 次に、大きな二点目ですけれども、財団法人民主音楽協会(創立者 池田大作)に対して感謝状贈呈者推薦書を高槻市長あてに送った件についてです。

 まず、小さな一点目ですけれども、この推薦書では、下記の者に感謝状を贈呈されたく推薦しますとして、財団法人民主音楽協会(創立者 池田大作)とあるのですが、なぜ創立者が括弧書きの中に書かれているのでしょうか。創立者に感謝状を贈呈してくださいということなのでしょうか、お答えください。

 小さな二点目ですけれども、高槻市文化振興事業団は、どのような理由で、どのような判断基準でこのような推薦を行ったのでしょうか。

 次に、小さな三点目ですけれども、高槻市文化振興事業団が、このように高槻市長に対して推薦書を贈るというのは、これまでも例があったのでしょうか。

 次に、小さな四点目ですけれども、なぜ文化振興事業団が直接感謝状を贈らなかったのでしょうか。 (中略)

 次に、小さな六点目ですけれども、この推薦書が高槻市長あてに送られまして、最終的には奥本市長は国際文化交流貢献賞という名前の賞として、感謝状としては異例の長さの文章の賞を贈ったんですが、この賞の名前や賞状の文章というのは文化振興事業団で考えたものなのでしょうか、お答えください。

○市民参画部長

 次に、民主音楽協会の感謝状の件でございますが、この件につきましても、当事業団に確認いたしましたことをお答えいたします。

 まず、推薦書の贈呈対象者の基軸についてのご質問でございますけれども、財団法人民主音楽協会(創立者 池田大作)と括弧書きを表記いたしましたのは、同協会が創立以来、また本市においても三五年にわたって事業活動を実施されており、国際文化交流及び市民文化の向上等に寄与してきたという長年の貢献に対しまして感謝状贈呈者として推薦したためとお聞きいたしております。推薦内容についても同様でございます。また、推薦基準につきましては、特に定めたものはございませんが、今回は本市での初公演から三五周年の節目を迎えるに当たりましての推薦を実施したものとお聞きしております。

 次に、これまで推薦書を贈ったことがあるかということにつきましては、記録に残っている限りでは、ないということでございます。

 次に、なぜ文化振興事業団から直接同協会に対して感謝状を贈らなかったかということについてですが、事業団には感謝状についての規定はなく、今まで贈呈した実績もないということでございます。

 次に、賞の名称及び文章につきまして、文化振興事業団が考えたものではないとお聞きいたしております。

○(北岡隆浩議員)

 次に、感謝状贈呈についてですけれども、創立者に感謝状を贈るというのは、ちょっと不自然ではないかなと私は思います。例えば、パナソニックに感謝状を贈る場合に、創設者の松下幸之助に贈るというのは、ちょっとおかしいのではないかなと。普通でしたら現在の代表者の方か、もっと普通にいくなら団体そのものに贈るだけでよいと思うんですが、これは不思議な点だなと思っております。この推薦に当たっては、どこかからか働きかけか何かがあったのでしょうか、それとも高槻市文化振興事業団が独自で決めたことなんでしょうか、お答えください。

○市民参画部長

 次の、感謝状の件でございますけれども、創立者の名前を推薦状に入れたのはなぜかということでございますが、これは先ほども申し上げまして、ちょっと繰り返しにもなりますが、括弧書きを表記したのは、同協会が創立以来、本市において三五年の長きにわたって事業活動を実施されてこられたと。国際文化交流及び市民文化の向上等に寄与されてきて、長年の貢献に対して推薦したということですので、よろしくお願いいたします。

 それから、この推薦に当たって、どこからか働きかけがあったのかということですが、そういうのは全くなく、今申し上げたように初公演から三五周年の節目を迎えたということで推薦したということですので、ご理解よろしくお願いしたいと思います。

○(北岡隆浩議員)

 初公演から三五周年の節目ということなんですけれども、何で三五なのかという、何かその三五という数字に根拠があるんでしょうか。

 それから、先ほど「世界の絵本展」ということをおっしゃられましたけれども、ここを主催した団体というのは、どちらなのかということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 そして、最後に、実際の感謝状の贈呈、国際文化交流貢献賞という特別な名前がつけられた感謝状なんですけれども、この感謝状の実際の贈呈の場面、その現場についてお聞きします。聖教新聞にはこう書いてありました。贈賞式は二六日――二六日というのは三月二六日のことですが――モンゴル国立民族歌舞団を中心としたグループ、スカイメロディーの民音公演終了後、高槻現代劇場で行われた。高槻市で初めて民音の地域コンサートが開催されてから三五周年、世界の相互理解と友情の真価を草の根の市民レベルで推進してこられた長年にわたる実績は、市民文化の交流発展に大いに寄与、と民音創立者の功績をたたえ、奥本 務市長から代理の小林代表理事に賞状が託されたと、このように書いております。

 そして、その記事には、民音創立者の池田名誉会長への国際文化交流貢献賞が奥本高槻市長から手渡されたというキャプション入りで奥本市長の写った写真が掲載されているんですけれども、奥本市長はずっとこのスカイメロディーの公演をごらんになられてから賞を贈られたんでしょうか。それとも、贈賞式間際に会場にあらわれて賞を贈られたのでしょうか、お答えください。

○市長(奥本 務)

 先ほどから担当部長が答えておりますように、市民の文化活動に大変寄与していただいたということで、そうしたいわゆる文化振興事業団からの推薦もあり、私として心から市民にとって大変有意義な内容であったと判断して贈らせていただいたものでございます。音楽活動を通して、いろいろと活動されることに何を不思議に思っておられるのか、ちょっと私は理解しかねますが、非常に市民にとって世界各国の音楽を有効に今日まで活動としてやってこられたと。その文化芸術活動、そうしたものに対して宗教活動とは一線を引いて考えておりますので、よろしくお願いいたします。(北岡隆浩議員「当日は公演を見られた後に賞を贈られたんですか。」と呼ぶ)聞かせていただいたから、そういう気持ちがさらに強くなったということでございます。

・・・以上は、外郭団体の決算に関しての質問である。翌日の六月三〇日には一般質問でこの問題を取り上げた。

○(北岡隆浩議員)

 一番目は、創価学会主催の「平和への大道展」を後援、広報した問題についてです。

 一点目、財団法人高槻市文化振興事業団と奥本市長が理事長を務める財団法人高槻市都市交流協会が、昨年七月に行われた創価学会主催の平和への大道展を後援していました。この件については昨日の外郭団体の決算報告において質問をさせていただきましたが、高槻市としては、この外郭団体による後援決定については、どのように認識をされているのでしょうか。適切なものと考えるのか、そうではないと考えるのか、その理由も含めてお答えください。

 二点目、この平和への大道展については、高槻市に対して後援依頼はなかったのでしょうか。もし、同種の後援依頼があれば、後援名義の使用を許可するのでしょうか、お答えください。

 三点目、この平和への大道展に関しては、「広報たかつき」平成二〇年六月一〇日号の催し欄に掲載されました。掲載に当たっては、いつ、だれが、どのような基準で掲載を許可したのでしょうか。

 四点目、この「広報たかつき」の掲載文には、主催者である宗教法人創価学会の「そ」の字も、平和への大道展の展示の主役ともいうべき池田大作SGI会長の「い」の字も記されていません。主催者や展示内容に関する重要事項を明記しないことは非常に問題だと思いますが、この点について、高槻市の見解をお聞かせください。

 五点目、過去にも宗教法人、宗教団体が主催する催しが後援を受けたり、あるいは広報されたりといったことはあったのでしょうか。

 二番目は、池田大作氏に国際文化交流貢献賞を贈った問題についてです。

 聖教新聞では、民主音楽協会創立者の池田名誉会長に、大阪府高槻市から国際文化交流貢献賞が贈られた。民音創立者の功績をたたえ、奥本 務市長から代理の小林代表理事に賞状が託された、というふうに報じられています。池田名誉会長個人に対して賞を贈ったような表現がされていますが、高槻市としては、この賞を池田大作氏個人に贈ったのでしょうか、お答えください。

 次、二点目です。財団法人高槻市文化振興事業団から財団法人民主音楽協会(創立者 池田大作)あてに感謝状を贈呈するよう推薦されて、高槻市のほうでは当時の政策統括監が決裁をして、感謝状を贈呈することが決定されています。決裁の文書では、高槻市感謝状贈呈内規の第一条第四項「その他、市長が必要と認めたもの」という条文を根拠としていますが、なぜ市長は必要と認めたのでしょうか、具体的な理由、判断基準をお答えください。

 三点目、国際文化交流貢献賞というのは、いつできたのでしょうか。だれがこの賞の名称を決めたのでしょうか。今後もこの賞を続けていくのでしょうか、それとも今回限りなんでしょうか。また、感謝状としては異例の長さの文章なのですが、この文章はだれが考えたのでしょうか。どなたかから賞の名前や賞状の文章について注文があったのでしょうか、お答えください。

 四点目、高槻市が池田大作氏に贈った国際文化交流貢献賞のことを公表、報道しているのは、私が知る限り聖教新聞だけです。「広報たかつき」にも高槻市のホームページにも載っていませんでした。創価学会の池田大作名誉会長という非常に著明な方に対して、高槻市が公式に賞を贈ったのに、なぜ高槻市はこの事実を市民に公表しないのでしょうか、理由をお答えください。

○政策統括監兼市長公室長

 まず、平和への大道展に関する質問についてお答えします。

 都市交流協会や文化振興事業団が、平和への大道展に後援許可をしたとすることに対する市の認識については、それぞれの団体が、それぞれの団体で持っておられる判断基準に基づいて、適切に審査され、決定されたものと認識しております。

 次に、市への後援依頼についての件でございますが、市への後援依頼はございません。また、仮に市に後援依頼があった場合は、とのことでございますが、仮の話でございますので、お答えを差し控えさせていただきますが、いわゆる一般論として申し上げれば、市に依頼があった場合は、それぞれの担当課において内容等を審査の上、適切に対応されるものと考えます。

 次に、広報掲載についてでございますが、後援名義の許可をした都市交流協会を通じて掲載依頼があり、平成二〇年五月二六日開催の広報委員会での審査を経まして、平成二〇年六月一〇日号のお知らせ面に掲載したものでございます。

 次に、記事の掲載内容についての件でございますが、主催団体名や催しの内容等については、紙面の関係もあり、すべて掲載できるというものではありません。多くの情報を提供するため、記事はできるだけ簡略化して掲載させていただいております。

 次に、過去に、こうした催しを後援あるいは広報紙に掲載したことがあるのかという件でございますが、今回と同様のケースで平成一六年一〇月に開催されました「世界の絵本展」という催しにつきまして、都市交流協会と文化振興事業団が後援し、一〇月一〇日号の広報紙に掲載した事例がございます。

 次に、二点目の、感謝状の贈呈に関してでございますが、平成二一年三月一三日付にて、財団法人高槻市文化振興事業団より提出された感謝状贈呈者推薦書に基づき、審査を行った結果、池田大作氏が設立された財団法人民主音楽協会の取り組み、とりわけ高槻における三五年に及ぶ活動実績並びに市民文化への寄与等を勘案し、財団法人民主音楽協会創立者池田大作様と表記し、感謝状を贈呈したものでございます。

 次に、判断基準についてでございますが、本市での初公演から三五年という多年にわたる活動、その間に五一回の公演を行われた実績、社会貢献として市内の福祉施設の子どもや障害者、小学生をコンサートに無償で招待されたこと等を勘案いたしまして、高槻市感謝状贈呈内規第一条四項を適用したものでございます。

 次に、感謝状の表記についてでございますが、感謝状の贈呈に際し、国内外の民族音楽、民俗舞踊、舞台芸術等を紹介され、世界各国との相互理解をはぐくまれるなど、財団法人民主音楽協会の功績を、よりわかりやすく表記したものでございます。

 次に、広報についてでございますが、通常感謝状の贈呈に際しては掲載を行っておりませんので、よろしくお願いいたします。

○(北岡隆浩議員) まず、平和への大道展についてです。

 ご答弁によりますと、「広報たかつき」の記事は、紙面の関係で簡略化しているとのことです。具体的には、どんな記事を掲載したのか、記事を読み上げます。平和への大道展四月一日(火)~六日(日)の午前一〇時~午後八時(一日は午後一時から)にJAたかつき本店(城北町一丁目)で、対話や文化交流、教育交流の大切さを訴える展示。無料。同高槻展実行委員会。で、電話番号が書かれています。

 この記事を読むと、実行委員会形式で行われている平和に関する展示のようにしか認識できません。

 記事中では、主催団体が同高槻展実行委員会となっていますけれども、この実行委員会というのは、さまざまな団体、個人が寄り集まってつくっている、いわゆる実行委員会形式の実行委員会ではなくて、創価学会という組織の中の実行委員会であるけわけですから、主催団体は創価学会と書かないと正確ではないはずです。

 それからこの平和への大道展の展示内容は、池田大作SGI会長の対話録ともいうべきものですから、市民に正確に情報を伝えるならば、池田大作SGI会長のお名前もちゃんと記載する必要があるはずです。

 平和への大道展がいかなるものかを紹介する上で、創価学会が主催であり、池田大作SGI会長が主役であるということは絶対に記載しなければならない要素であるはずで、これを明記しないことは、明らかに不当な表示です。偽装表示と言ってもいいと思います。正確な情報を市民に伝える責務がある地方公共団体が、広報紙において、このような不当表示、偽装表示を行ったことは非常にゆゆしき問題ですし、宗教団体が主催する宗教団体の指導者に関する展示を、高槻市は無償で広報したわけですから、宗教団体に対する援助と言えるのではないでしょうか。

 憲法第八九条では、公金その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のためこれを支出し、またはその利用に供してはならないと定められていますが、これに違反する行為ではないのでしょうか、お答えください。

 次です。

 「広報たかつき」平成一六年一〇月一〇日号に、宗教団体主催の世界の絵本展の開催を掲載したということです。この主催者も創価学会ということなんですが、「広報たかつき」平成一六年一〇月一〇日号の実際の紙面を見ると、主催者が創価学会ということが明記されていませんでした。これについても、先ほど述べた問題があると私は考えております。これについてのご答弁は結構です。

 次に、国際文化交流貢献賞についてです。

 一点目、三五年に及ぶ民音の活動実績を勘案したということですけれども、なぜ三五年という中途半端な年数なのでしょうか、お答えください。

 二点目、高槻市は感謝状をこれまで団体の創立者あてに贈ったことがあるのでしょうか、お答えください。

 三点目、奥本市長は、当日、民音の公演を見られてから賞を贈ったとのことですが、公演を見るというのは公務なのでしょうか、お答えください。奥本市長は公用車で現代劇場へ行かれたと思われるんですが、公用車の運転手の方は、これのために四時間の残業をしておられます。これは、問題はないのでしょうか、お答えください。

 四点目、ご答弁では、通常、感謝状の贈呈については掲載をしていないということですが、「広報たかつき」平成二〇年一一月一〇日号の一面には、一五五人、一五団体に表彰状を贈呈、二三六人、二一〇団体に感謝状を贈りましたという記載もありますし、市のホームページには、平成一八年一二月二一日に高齢者福祉施設にユズぶろ用のユズを提供してきた方に感謝状を贈ったり、平成一九年九月六日に災害用保存食を備蓄したJTに感謝状を贈ったりしたことが書かれています。そういうことからすると、やはり特別な賞を創設して、著明な方に贈ったのに、それをどこにも公表しないというのは不自然に思います。これについてのご答弁は結構です。

○政策統括監兼市長公室長

 まず、平和への大道展に関する質問についてお答えいたします。

 先ほどの答弁の繰り返しになりますが、広報紙の掲載に当たっては、多くの情報を市民に知らせるため、掲載依頼に基づき、記事はできるだけ簡略化して掲載することに努めておりまして、掲載内容につきましては、いわゆる不当表示、偽装表示といったようなものではなく、問題はないものと考えております。

 また、掲載が宗教的活動への援助に当たらないかどうかというご質問でございますが、昭和五二年七月一三日に行われました、いわゆる津地鎮祭訴訟最高裁の判決におきまして、憲法で規定するところの宗教的活動というものは、およそ国及び、その機関の活動で、宗教とのかかわり合いが相当とされる限度を超えるものに限られるというべきであって、当該行為の目的が宗教的意義を持ち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進、または圧迫、干渉等になるような行為というべきものと解すべきものである、そして、その判断に当たっては、当該行為の主催者が宗教家であるかどうか、その順序、作法、式次第が宗教の定める法式にのっとったものであるかどうかなど、当該行為の外面的側面のみにとられわることなく、社会通念に従って客観的に判断しなければならないとされております。

 この判決を踏まえますと、当該イベントについては、いわゆる勧誘等の宗教的意義を持つような、宗教的活動を目的としたものではないことから、憲法第八九条等に規定する、いわゆる政教分離の原則には反しないものと判断しております。

 次に、感謝状贈呈の件に関しましてお答えいたします。

 まず、周年の年数についてでございますが、本市におきましても、例えば、昨年度市制施行六五周年の記念事業等を行っております。同様に、財団法人民主音楽協会におかれましては、今回の公演が設立四五周年の記念事業であり、また本市における初回の公演より数えて三五周年の節目の年に当たるということから、感謝状を贈呈したものでございます。

 次に、感謝状贈呈につきましては、その贈呈趣旨に基づきまして、さまざまな表記を用いておりますが、例えば、いわゆる先代の功績をたたえ感謝状を贈呈したような事例はございます。

 次に、本年三月二六日当日の公演会への市長の出席についてでございますが、出席要請に基づき公務として出席しております。

○(北岡隆浩議員)

 まず、平和への大道展、国際文化交流貢献賞についてです。

 私は、創価学会や名誉会長や民主音楽協会を批判しているわけでは決してありません。ただ、宗教と政治行政のかかわりについては慎重にしなければならないはずですので、今回、取り上げた次第です。奥本市長は三期目ですけれども、三期目になってから、立て続けにこのようなことが起きたのは一体なぜなんでしょうか。

 「広報たかつき」に主催団体や展示内容に関する重要な情報を伏せた形で展示会の記事が掲載される。「広報たかつき」を見て、行政からのお墨つきを受けている平和のイベントかなと思って、何の予備知識もなく、平和への大道展に行かれた方がもしおられたら、宗教団体が主催していることなどについて、大変驚かれたのではないかなと思います。これは、大学でよく問題になっている偽装サークルと同じようなやり方ではないかなと思います。そんなことを市の広報紙でやってよいはずがありません。

 また、団体の創立者に対して、突然高槻市が前例のない賞をつくって、三五年という中途半端な節目で贈るというのは、だれが見ても不自然だと思います。賞状の文章も異例なんです。ちょっと賞状の文章を読み上げたいと思います。

国際文化交流貢献賞

財団法人民主音楽協会創立者 池田大作様

貴殿は世界の平和と人類の幸福の実現を目指し、平和、文化、教育の推進に情熱を傾けられ、世界的なご貢献を重ねてこられました。とりわけ貴殿の設立された民主音楽協会が取り組まれてきた地域音楽文化の活性化へ向けての地域コンサートが高槻市で開催されており、本年で三五周年の佳節を迎えることになります。世界の相互理解と友情の真価を草の根の市民レベルで推進してこられた長年にわたる実績は、市民文化の交流発展に大いに寄与するものであります。よって、その数多のご功績をたたえ、ここに国際文化交流貢献賞を送り、深甚なる敬意を表するとともに、感謝申し上げ顕彰します。

平成二一年三月二六日 高槻市長 奥本 務

 これと同じ文章を奥本務高槻市長は読んで贈られたかと思うんですが、やはり、これを読むと池田大作氏個人に贈ったとしか思えません。

 文章の構成としては、民音のことが入っていることがむしろ不自然で、高槻市の苦心の跡が感じられます。

 こういう異例なことを行ったことについては、行政の私物化と言われても仕方がないと思います。今後もこのようなことが起こるんでしょうか。奥本市長、今後はどうされるのかについて、ぜひ、ご答弁ください。

○政策統括監兼市長公室長

 平和への大道展等についての質問でございますが、先ほど申し上げましたように、当市としては、憲法はもとより、内規等に十分にのっとって、引き続き適切な行政を行っていくよう努力をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

・・・当日、奥本市長は、秘書室長と共に、専用車と呼ばれる運転手付きの公用車に乗って、高槻現代劇場へ赴き、民主音楽協会主催の公演を終了まで観賞した後、「『国際文化交流貢献賞』贈賞式 高槻市」の横断幕が掲げられた舞台に登壇し、上記の賞状を読み上げ、池田大作氏の代理である小林代表理事に賞状を手渡した。これを写した写真には副市長らの姿もあった。

 このために、運転手の職員は、同日午後五時一五分から午後九時五〇分までの四時間三五分、残業した。

 高槻市には「高槻市表彰条例」という条例があり、平成五年四月一日より施行されている。この条例の第二条では、表彰の種類を、名誉市民賞、特別名誉市民賞、有功者賞、顕功賞、功労賞、特別功労賞、篤行賞の七種類に限定している。これら以外に「○○賞」といったものは、高槻市には存在しない。この七種類の各賞については、それぞれ表彰の要件もが定められているから、要件を満たしていない者に贈ることはできない。

 つまり「国際文化交流貢献賞」なる賞を、高槻市長の立場で贈ることはできないのである。この賞は、表彰条例に反して、勝手に設けられたわけであるから、明らかに条例違反である。

 表彰条例の第一六条には「第二条に規定するもののほか、市政の進展に功労があったもの又は貢献したもので市長が特に必要と認めるものに対し、感謝状を贈ることができる。」と感謝状についての定めもある。

 高槻市役所は、「国際文化交流貢献賞」をあくまでも「感謝状」だと言い張った。そこで他の感謝状を情報公開請求して取り寄せたが、タイトルはすべて「感謝状」だった。おまけに宛名はすべて「○○殿」である。「国際文化交流貢献賞」には「池田大作様」と記載されていた。なぜ池田氏だけ「様」付けなのか。

 賞状の文面もまったく他の感謝状とは異なる。例えば福祉のために寄付をしてくださった方への感謝状はこうだ。

感謝状

○○殿

貴殿は本市の社会福祉に対し 多額の寄附をされ 市民福祉の向上に寄与されました。

よって ここに深甚なる感謝の意を表します。

平成○○年○○月○○日

高槻市長 奥本 務

・・・このようにとても簡素なもの。こうした前例から、あのような華美な文面が紡ぎ出されるとはとても思えない。

 奥本市長は何のためにこんな賞を贈ったのか。それは、奥本市長個人の政治的もしくは宗教的な目的を達成するためであろう。地方自治体の長の立場を悪用しての所業である。まさに、行政の私物化だ。政教分離を定める憲法に抵触するのではないか。

 奥本務さん個人ではなく、「高槻市長」として賞を贈るということは、高槻市民の代表として贈賞するということになる。果たして、この賞の贈呈について、納得する市民の方は、どれだけの割合でいるのか。公務として公費を使い、有名人に賞を贈ったのに、何故高槻市役所は公表しないのか。やはり後ろめたいからだろう。

 他の議員たちは、議会では、この件についてダンマリだった。

 この問題についても、運転手職員の時間外手当約二万円と賞状の筆耕料一万円を賠償せよと、住民監査請求と住民訴訟を行った。しかし、最高裁まで争ったものの敗訴。高裁の裁判長は、弁護士さん曰く異例な形で疑問を呈していたのだが……司法も何かに毒されているのか、勇気がないのか。

 地裁判決時に、いつもはポーカーフェイスで判決を聞いている市職員が、嬉しそうに「やった!」と声を上げたのが印象的だった。

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第六章 池田大作氏への贈賞” に対して2件のコメントがあります。

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